FINAL ~永遠に~

美保伝説

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第6話 妻の母

 義母はまさに「昭和」を地で這う様な女性。素晴らしい教養があり「泉知恵」と呼べる知恵のある、私の尊敬する人物です。家内の実家は女家系で、美保は小さい頃一人で騒動しておりました(笑)。毎日が慌ただしくもあり、楽しく、毎日少年野球に明け暮れていた頃を懐かしく思います。

 代々、家系的に医学を学び、親子二代助産婦(昔は産婆さんといいました)として、地域の子供さん方を2000名ほど取り上げた事を義母より聞きました。義母の笑い声は豪快で、また、男気質な面も持っていて、美保はお義母さんに一番似ている気がします。

 皆様ご承知の通りで…若い頃のヤンチャ!?な私へ、義母は「うちの娘は、あなたが三年逆立ちしてもやらん」と言い、結婚を断られておりました。しかし、結婚してからは自分の息子として可愛がって下さり、義母は私に「宏二郎ちゃん、人間は知恵を出さなんばい」と何度も聞かされました。

 美保が高校生の時インターハイが関東で行われた際には、初めて関東を訪れる私へ義母は、家内に内緒で5万円もの大金を手渡してくれました。男は「無い袖」は振れないからと言って…

 その義母は今、認知症を患い、近くの施設で7年間入所生活を送っています。美保の姿がテレビで放送される度、スタッフの方は義母をテレビの前へ連れて行って下さいます。スタッフの方が言われるには、「美保ちゃんの事はしっかり覚えていらっしゃいますよ!」と聞いております。

 美保が中学2年の時、義父を亡くして以来、義母一人と私達は共に歩んできました。私の記憶の中で義母の涙を見た事はありません。義母は、家内や孫たちへ「仏様も涙暇なし」が口癖でしたから…

 今、振り返ってみると、義母は陰で泣いていたのかもしれませんね…

 義母より私は無償の愛と温かい言葉を学びました。義母から頂いた言葉は私の中で生きています。義母より学んだ一つ一つの言葉を胸に、これからも自分に恥じない人生を送り進んでいきたいと思っております。

次回予告
美保が最もDNAを受け継いだハイカラばあちゃん

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