MIHO’S  DADDY’S JORNEY DIARY 古閑美保の四国八十八カ所巡り日記

煩悩 四国八十八ヶ所巡り日記

ばっくなんばぁ

第6話 衛門三郎の再来

先週の続きです。
衛門三郎が亡くなり、文殊院本堂に八人の子供の位牌と共に衛門三郎の位牌を安置されたお大師様は、因縁切りのご祈祷をなさりました。
すると、伊予の国主、河野伊予守に男の子が生まれました。

お世継ぎ誕生に国中が沸きました。
しかし、不思議なことに生まれてきた男の子の右手がじっと握られて開かないそうです。
心配した両親は、腕の良い医者、祈祷師と、色々と手を尽くしましたが、右手は開かないそうです。
その男の子が三歳の春、突然立ち上がり、南の方角を向き「南無大師遍照金剛」と三度唱えました。
すると、家臣達が見守る中で右手がぱっと開き、その中から小さな石が出てきたそうです。拾い上げてみると「衛門三郎再来」と書かれていたそうです。

それから十数年後、男の子は立派な青年になり、十五歳の時に家督を継ぎ、名が「河野伊予守」となりました。
自分は幼少の頃より衛門三郎の生まれ変わりと聞かされ、仏の道にも関心を示し、安養寺を再建し、持っていた衛門三郎の石を納めました。
後に安養寺は五十一番札所石手寺と呼ばれるようになったのです。
河野伊予守は、民衆のためにより良い政治を行い、貧しい者や困っている人を助けました。伊予の国は益々栄えたそうです。

私はこの話が事実であれ、作り話であれ、自分自身に置き換えたとき、強欲に駆られ、威張り散らしていた自分こそ、衛門三郎で会ったのではないかと心の底から思い、悔い改める日々を過ごし、逆打ちこそ出来ませんが本当に遍路をして良かったと思っています。

お大師様は、この世に生まれてきた以上、世の中の人々に少しでもよい行いをしなさい、悪い行いをすると子孫に悪い因縁が生じ不幸になっていきますよ、良い行いをすることにより幸福になり、来世も人間に生まれ変われますよと説いておられます。
私たちの目に見えない罪業を懺悔することにより、一〇八の煩悩を消滅し、来世も人として生まれてくるよう礼拝するのです。

四国の霊場には八十八ヶ所、別格二十ヶ所の番外霊場等があります。
除夜の鐘を一〇八回打つように、一〇八の寺院を参拝し、祈りを捧げてみてはいかがでしょうか。
一〇八の寺院を廻ることによって、一〇八煩悩悪難消滅無病福寺を授かります。
悪いことをすると悪い種が実り、良いことをすると良い種が実り、自分がしたことは必ず形となり現れるのです。


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