FINAL ~永遠に~

美保伝説

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第10話 永遠のスパースター

 美保の師匠、尾崎将司さん(以下ジャンボさん・先生と呼ばせて頂きます)。美保が一時期、清元先生の元を離れた時期がありましてね…シーズン中、スウィングの事で悩んでいた美保に、私はジャンボさんの門を叩いてみては?と、ゴルフ界の王者である師へ仰ぎを求めさせたのです。

 ジャンボさんと言えば、徳島海南高校出身、当時ピッチャーで4番。一人で部員を甲子園に連れて行き、見事徳島へ優勝旗を持ち帰り、その後西鉄ライオンズに入団し、プロ野球選手となられました。それから転身、ゴルフ界へ…120勝という前人未到の偉業を達成されたスーパースターです。

 話は元に戻りまして…ジャンボさんはゴルフ場でいつも自分のルーティンで黙々とボールを打っておられます。ジャンボさん自身、生涯現役を自負されているが故なのか、美保に何も教えられませんでした。その場に居合わせた美保を見ると「にこっ!!」とされ、隣にいた私の存在に気付いて頂きました。「初めまして、美保のバカ親父です」と挨拶したところ、今日は我が家で呑んで行けよ!とお招きを受けました。

 ジャンボさんと初顔合わせでおまけにご自宅へ!?私は森伊蔵を下げまして、ジャンボさんのお宅へお邪魔させて頂きました。私はジャンボさんに尋ねてみたいことがありまして、「先生は何故美保に技術を教えて下さらないのでしょうか?」と質問しました。ジャンボさんからの答えは、美保には全て備わっている!!と一言。自分で広げる以外ないんだよ…とお話しされまして、すぐさま私が「それは柳生の境地ですか?」と尋ねてみました。するとジャンボさんから「お主、何者ぞや!?」と言葉が返ってきたのです。

 会話の中では、盆栽、刀、歴史の話…全て共通する話題に共感したことがジャンボさんは嬉しかったのかもしれないですね。刀剣屋(銀座・長州屋社長)さんも同席されており、ジャンボさんの部屋にある愛刀を見せて頂きました。刀の話になると、私も会話が弾み少しばかり調子に乗り、一人で2時間ほど喋りっぱなしの中、傍でジャンボさんは頷かれておりました。最後にジャンボさんから「お父さんは博学やな」とのお言葉をいただき、私は最高に嬉しかったです(笑)

 同席されていたジャンボさん専属の料理人さん、弟子の方々は皆、口をそろえ、これほど賑やかな夜の宴会は久しぶりですと言われておりました。それもそのはず、ジャンボさんは今も現役のプロですから…

 美保が言っておりました。ジャンボさんは自分のルーティンを崩さない方。仲間で集まっていても、面白くない時はテレビをつけられたり、または自分の部屋へ戻られる…と。私はジャンボさんに気に入ってもらえたと思うのですが、ジャンボさんのルーティンを崩したことに、この場をお借りしまして謝罪します。ジャンボさん、その節は大変ご無礼致しました。

 ジャンボさんの友人であるスーパーキャディの佐野木さん。私も親交があり、前で述べた話をしたところ、佐野木さんより「ジャンボに2時間も話せる人間はあんたしかおらんよ!」と笑って話されました。確かに、威風堂々と王者のオーラを醸し出されるジャンボさんには近づけませんよね…

 きっと美保は、いつしかジャンボ先生の背中を見て育ち、色々な方々より支えられ、勝ち取った賞金女王だったのでしょう。

 我がスーパースター・ジャンボ先生。また逢う日まで、健康に御自愛下さい。


次回予告
愛娘美保が12勝目ヤマハレディースオープンでプレジャーボート獲得し、
俺にプレゼントしてくれて加山雄三さんの気分になりました!の話です。

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